抗がん剤の副作用によって起こる、頭髪の脱毛を防ぐための医療機器。細いチューブを網目状に張りめぐらせたシリコーン製のヘッドギア(帽子)と、そこへ冷却液を送り込む本体装置からなり、スウェーデンのディグニターナ社が開発・製品化した。本体装置1台につき、2人まで同時に施術できる。抗がん剤の点滴中やその前後各30分間、この装置で患者の頭部を4℃程度に冷やし続けると、頭皮の血管が収縮して血流量が減り、血中に溶け込んだ薬剤による毛根細胞のダメージが抑えられる。乳がんで化学治療中の女性を対象とした研究では、脱毛による精神的苦痛を和らげる効果が認められた。世界保健機関(WHO)の尺度に照らし合わせた評価においても、約60%が「脱毛なし」で、満足度90%と判断されている。ヨーロッパでは2002年に認可されて以来、約1万人が使用。日本でも、大阪市に本社を置く毛髪クリニックリーブ21が、09年7月にディグニターナ社と独占販売代理契約を締結。10年6月ごろから国内の3病院で、50歳以下の女性100人を対象に、共同臨床試験(治験)が予定されている。