大学などの入学時期を通例の春季(4月)ではなく秋季(9月)にする制度。従来は、学校教育基本法施行規則によって、大学の学年は原則4月に始まり翌年3月に終わると定められていた。しかし、規則の一部が改正され、2008年度からは学年の始期及び終期は学長の裁量によって定められるようになり、入学時期が自由化された。世界全体の約7割、欧米の約8割の大学が秋入学を採用していることをうけ、12年1月20日、東京大学(浜田純一学長)の懇談会は、学部の春入学を廃止し秋入学に全面移行を求める中間報告をまとめた。海外に圧倒的に多い秋入学に合わせることで、大学のグローバル化を図ることが狙い。入学試験は現行通り春に行う。合格後の4月から入学までの半年間をギャップタームとし、学生が海外への短期留学やボランティア活動など、さまざまな体験活動を積むことで、受験競争で染みついた偏差値重視の価値観をリセットして、大学で学ぶ目的意識を明確化する期間と位置づけている。京都大学など12大学で協議会を作って検討を進め、5年前後の実施をめざす。国際標準ともいえる秋入学を採用することによって、優秀な留学生や帰国子女を確保できる、日本の学生が留学しやすくなるなどのメリットがある。一方で、公的資格試験が春入学を前提にしていることや、他大学とのずれにより就職の遅れが生じること、事実上の修業年限が延びて家計の負担が増すことなどのデメリットもあり、慎重論も出ている。