米糠(ぬか)に豊富に含まれる、玄米(brown rice)特有の成分。抗肥満効果や抗糖尿病効果をもつことを、琉球大学の益崎裕章教授らの研究グループが明らかにし、2012年7月25日に発表した。玄米には体重を減少させたり、血糖値を低下させたりする働きがあることが知られていたが、そのメカニズムは解明されていなかった。また、高脂肪食をとると、大脳の視床下部で小胞体ストレス(endoplasmic reticulum stress)と呼ばれる代謝が活発化し、このストレスは高脂肪食に対する嗜好性を強くしてしまい、高脂肪食をもっと摂取したくなるという依存状態に陥る悪循環が形成されることがわかっている。同教授らは、γ-オリザノールの化学構造式が小胞体ストレスを軽減する人工物質「4-フェニル酪酸」の化学構造式と類似している点を発見。γ-オリザノールには、この小胞体ストレスが進むことを防ぎ、高脂肪食に対する嗜好性をやわらげる効果があることを解明した。さらに、ヒトと同じように高脂肪食を好むマウスを使い、玄米を与えたマウスと白米を与えたマウスとに、通常食と高脂肪食の両方を用意し、自身で選択させる実験を行ったところ、玄米を与えたマウスは通常食を好んで摂取し、体重の増加が抑制されたいっぽう、白米を与えたマウスは高脂肪食に対する嗜好性が変化することはなかったことが確認された。ヒトがどれくらいの玄米を食べれば効果が出るのかについては、同年秋から臨床実験を開始する予定で、サプリメントの開発も視野に入れている。