感染症の広がりを推計する尺度となる数値。インフルエンザやはしか等の感染者1人が、他人への感染性を失うまでの間に、2次感染させる人の平均数で表す。もともとは人口増減の推計のために考案され、基本繁殖率と呼ばれることもある。数値は地域や時期によって常に変化し、R0>1の場合は感染が拡大傾向、R0<1の場合は終息傾向を示唆する。世界保健機関(WHO)が2009年5月に公表した、H1N1新型豚インフルエンザに関する早期評価レポートでは、メキシコにおける09年4月末までのR0を1.37~1.47と分析。感染性は季節性インフルエンザより着実に高く、過去に起きたスペインかぜ、アジアかぜ、香港かぜのパンデミック時のR0の低い方の推計値に相応であると結論した。また、東京都は新型インフルエンザ対策行動計画の中で、R0=1.25、罹患率約30%を仮定値とした場合、流行ピークの前後8週間に、都内で約236万人の受診患者が出ると予測して基本方針を策定。国立感染症研究所も、09年5月に国内発生した新型豚インフルエンザの基本再生産数について独自に調査を開始している。