病原性細菌の一つである、髄膜炎菌によって引き起こされる感染症。髄膜とは、脳や脊髄を包んで保護する膜状の組織で、菌が入り込むことで炎症が起こり、2~4日(多くは3~4日)の潜伏期間を経て、発熱、頭痛、けいれん、意識障害などの症状があらわれる。病気の進行が急激で重い劇症型のケースでは、ショック、多臓器不全を併発して、死亡することもある。感染者のせきやくしゃみなどに含まれた菌を、別の人が吸い込むことで感染するため、一度発生すると大流行することがあり、流行性髄膜炎とも呼ばれる。世界的にはアフリカ中央部を中心に熱帯、亜熱帯地方で多発しており、アメリカ、ヨーロッパなどでも局地的な小流行が見られている。日本でも第二次世界大戦前後に多発したが、1960年代前半から激減し、現在は極めて発生が少ない。しかし、感染症法では5類感染症全数把握疾患に定められ、病原菌を特定して診断を下した医師は、7日以内に保健所へ届け出なければならない。予防や治療には、抗菌薬の服用などを行う。2011年5月、宮崎県小林市の男子高校寮で発生が確認され、同月25日までに発熱などの症状で6人が入院、うち1人が死亡した。