肺に起こる病気の一つ。肺の内部で、気管支が枝分かれした先の肺胞という場所に、口や鼻から吸い込んだ粉塵(じん)などの異物が入り込むと、周囲の組織と結合して肉芽状の塊ができる。これを器質化現象といい、数が増すと免疫細胞の攻撃を受けて、肺胞の壁に炎症をともなった病変が現れる。薬剤の服用や膠原(こうげん)病、血管炎、別の感染症や悪性病変に関連して起こる場合もあり、原因不明のものを特発性器質化肺炎(COP)と呼ぶ。患者は50~60歳代に多いが、男女差は見られない。症状はせき、息切れ、発熱、全身倦怠感、体重減少など、一般的な細菌性肺炎とよく似ている。ただし細菌が直接原因ではないため、抗菌薬では改善しない。治療には炎症を鎮め、免疫を抑制する作用をもつステロイド剤(副腎皮質ホルモン)が使われる。2011年3月に起きた東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被災地で肺炎患者が急増した問題で、食べ物などに付着した細菌が気管や肺に入って起こる誤嚥性肺炎とともに、ヘドロやがれきの粉塵が影響したと見られる器質化肺炎が蔓延(まんえん)。病院などが、防塵マスクの着用を呼びかけた。