1キログラムの質量を定義するための標準分銅。度量衡の国際統一を目的に、1875年に成立したメートル法に関する条約(メートル条約)に基づき、1889年に製作された。形状は高さ、直径とも39ミリの円柱で、プラチナ(白金)約90%、イリジウム約10%を主成分とする合金製。摂氏27度で、一辺10センチの立方体の純水の質量を1キログラムと定め、それと同じ重さにしてある。通常は3重のガラス容器に収納されており、測定の際には原器、室温、使用器具をすべて摂氏27度に調節したうえで、人の手が触れないよう専用天秤(てんびん)へと移動させる。パリ郊外のセーヴルにある国際度量衡局(BIPM ; Bureau International des Poids et Mesures 仏)に厳重保管され、日本をはじめとする条約加盟国は、この原器を正確に複製した分銅を、それぞれの標準器としている。2007年、原因不明の質量変化で、同時期に作られた複製品よりも50マイクログラム(100万分の50グラム)軽くなっていることが判明。11年10月の国際度量衡総会において、現行の原器を廃し、より正確で安定した新定義に切り替える方針が決議された。