地球温暖化の要因とされる、温室効果ガス(二酸化炭素など)の排出量を削減する仕組み。「セクター」は、電気、鉄鋼などの産業分野を示す。温室効果ガスの削減についての国際的な仕組みは、国や地域ごとの総排出量に数値目標を定める方法が一般的だが、経済発展が阻害されると主張する途上国の合意を得にくく、2012年を目標期限とした京都議定書でも、途上国には削減義務を課していない。一方、セクター別アプローチでは、発電量や鉄鋼生産量などを対象に、生産高当たりの排出量を産業ごとに設定する。対応策として、国境を超えた各産業内で省エネ技術の移転などが想定されていることから、途上国の理解を得やすいとされ、京都議定書以降(13年以降)の排出量削減の枠組みを定めるための行程表「バリ・ロードマップ」でも、セクター別アプローチの導入を検討することが盛り込まれている。省エネ技術の進んだ日本の産業界にとっては、自国に課される削減義務を軽減できるメリットがあるが、生産高の上昇にともなって排出量の上限も膨らむため、総排出量の削減にはつながらないという批判もある。