省庁や自治体、地域の協議会などが社会的な影響の大きい施策を導入する際に、地域住民の参加のもとで、場所や時間を限定して試行すること。主に交通、環境などの分野で行われ、試行後の本格導入は、費用対効果や住民らの意見から判断する。大規模な例として、ヨーロッパで毎年9月22日に自家用車の利用を控える取り組み「ノーカーデー」には、1000以上の町が参加することが知られる。日本で初めて公的に「社会実験」の語が使われたのは、1996年から神奈川県鎌倉地域で行われた、自動車の流入量を減少させる取り組みとされ、地域内の公共交通が安価で利用できるフリーパスの発行などが本格実施につながり、注目を集めた。99年には、効果の乏しい公共事業への批判を背景に、旧建設省(現、国土交通省)が、社会実験の公募制度を創設。実験の実施、評価の費用として1000万~1500万円を国交省が補助するもので、2008年度には、高松市の車線数の減少を伴う自転車レーン設置、青森市のGPS携帯を用いた除排雪作業の効率化など、17件が採用されている。09年5月には、千葉県の森田健作知事が、神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ東京湾アクアラインの通行料を、社会実験として値下げするよう国交省に求めて了承された。