中心血圧とは、血液が血管にぶつかり跳ね返って、心臓などの主要な臓器に直接かかる圧力のことで、血液が心臓から押し出された直後の、心臓の大動脈起始部の血圧値を指す。血管が硬いと跳ね返る力も強く、中心血圧も高くなる。中心血圧が高いと、心臓にかかる負担が大きく、心肥大や心筋梗塞(こうそく)など心血管系疾患の発症のリスクが高くなることがわかっている。血圧測定は上腕血圧(brachial blood pressure)といって、心臓にいちばん近い上腕部を心臓と同じ高さに置き測定する方法が一般的であるが、昨今の循環器研究から、例えば、血圧降下剤を処方した場合、上腕血圧が正常になっても、中心血圧が下がっていない事例が確認されている。そこでより効果的な治療のため、上腕血圧と同時に中心血圧測定を併用することが求められるが、中心血圧測定は簡単ではなく、病院の手術室でカテーテルを心臓近くまで挿入して測定しなければならなかった。しかし、手首のとう骨動脈の脈波から、中心血圧を正確に推定する技術が開発され、外来診療でも簡単に測定できるようになった。