原虫の一種であるランブル鞭毛虫(べんもうちゅう)(giardia lamblia)が、腸管に感染して起こる下痢性疾患。日本の感染症予防法では、診断から7日以内に届出を要する5類感染症全数把握疾患に指定されている。感染経路は糞口感染で、嚢子(のうし)またはシストと呼ばれる、丈夫な被膜に覆われた形態の原虫が、感染者の便に混じって排出され、食品や飲料水、体の接触などを介して他人の口に入ることでうつる。2~8週間の潜伏期ののち、発症すると下痢を主症状に、腹痛、食欲不振、腹部不快感などの症状を示す。下痢は水様の非血性で、発熱はほとんど見られない。感染してもまったく症状が出ないケースも多い。治療にはメトロニダゾールなどの抗トリコモナス薬(未承認薬)が使用される。地球規模で見ると、ごくありふれた病気で、感染者数も熱帯・亜熱帯地方を中心に、世界中で数億人に達するという。日本では、第二次世界大戦後の1949~56年頃に3~6%の感染率だったが、衛生環境の改善とともに減少し、現在は都市部でも0.5%以下と低い。よって年間100例前後の届出のうち、6割以上は海外での感染と推定されている。2010年11月、千葉県内で国内初の集団感染が報告された。