年金制度において、サラリーマンなど夫に扶養されていた3号被保険者の妻が、その資格を失ったのに、1号被保険者への切り替え手続きを忘れて保険料未納となっており、将来に無年金者、もしくは低年金者になるおそれがあるケースの救済策として、2011年1月1日から施行された措置。現行の年金制度では、サラリーマンなどの妻は月々の年金保険料を納めなくても、2号被保険者である夫が加入する厚生年金や共済年金を通して社会保険事務所に届けられ3号被保険者として国民年金に加入している。しかし夫が脱サラなどによって2号の資格を失えば、妻も3号の資格を失うことになる。1号への切り替え手続きは、被保険者本人みずから届け出る必要があるが、それがなされず3号と記載されている不整合記録が見つかった。厚生労働省の年金記録回復委員会のサンプル調査によると、この不整合記録のケースは数十万~100万人に達することが判明した。しかしここで不整合記録を3号から1号に正せば1号としての保険料未納期間が生じ、人によっては受給資格を満たさないケースも生まれることになる。そこで記録回復委員会では、手続き忘れの大半は意図的ではなく、社会保険庁の周知が不十分であったことが主因であるとして、過去2年分にさかのぼって保険料を納付すればそれ以前は不問に付し、不整合記録上3号を運用上は3号とみなすという救済措置を開始した。ところがすでにこれまで3号から1号への切り替え手続きを済ませて年金保険料を支払ったケースは、過去5年で300万人もいる。また10年末日までに不整合記録に気づいて訂正した人は、この救済措置からから外れることになり、モラルハザードが生まれる可能性が指摘されており、11年2月末現在、運用3号適用措置の見直しを求める声が高まっている。