血液中に含まれる白血球、赤血球、血小板などのもとになる細胞で、主に骨髄の中に存在する。何らかの原因で造血幹細胞に異常が起こり、正常な血球が作れなくなると、白血病や再生不良性貧血、免疫不全症などの病気を起こす。大量の放射線を浴びることも、造血幹細胞の破壊につながる。治療法としては、異常な造血幹細胞を正常なものに置き換える造血幹細胞移植がある。
2011年3月に起きた福島第一原子力発電所の事故に絡んで、日本造血細胞移植学会と国立がん研究センターはそれぞれ、作業員が大量被ばくした場合に備え、造血幹細胞をあらかじめ採取・保存し、移植に備える選択肢を提示。また、虎の門病院(東京都港区)など、造血幹細胞の迅速な事前採取・保存体制を整える医療機関も現れている。