災害時などに重症患者を治療しながら搬送できるよう、集中治療室(ICU ; intensive care unit)並みの医療機器や診察台を備えた、航空輸送用コンテナのこと。機動衛生ユニット(mobile health unit)ともいい、2007年、愛知県小牧市の航空自衛隊小牧基地に初めて配備された。コンテナ内部は空調完備のキャビンになっており、騒音と電磁波が遮へいされ、可動式ベッドのほか、患者の容態を監視する装置、人工呼吸器、心臓の除細動器、輸液ポンプ、吸引機、血中酸素量などがわかる血液ガス分析装置、超音波診断装置といった医療機器が備えられている。全重量は約2.5トンあり、航空自衛隊のC-130H輸送機の貨物室なら、同時に2ユニットまで搭載可能。出動時には専用の訓練を積んだ部隊である航空機動衛生隊(AMES ; aero medical evacuation squadron)が、1ユニットにつき医師1人、看護師1人、救急救命士1人、管理要員1人の4人1チームで治療・看護にあたる。11年3月に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)において初出動し、被災地から北海道へ運ばれて、骨折と心不全の治療を受けた90歳代の女性を、出身地の岩手県まで機上看護しつつ搬送する任務にあたった。