近赤外線という肉眼で見えない波長の光を頭にあて、うつ症状を伴った精神疾患を鑑別診断する検査。近赤外分光法(NIRS ; near-infrared spectroscopy)ともいい、日本で開発された、光トポグラフィー装置を使って行う。近赤外線はテレビのリモコンなどにも使われる弱い電磁波で、頭部に照射すると脳の内部まで浸透し跳ね返ってくる。その性質を利用して、脳の活性化で起こる血流量の変化を読み取り、グラフ解析したデータが統合失調症、そううつ病、うつ病のどのパターンに合致するかを調べる。患者は帽子型の照射検出装置(プロープ)を着け、脳を働かせる問答式の課題を十数分間こなすだけでよい。従来、問診しか方法がなかったうつ症状の鑑別診断が、生体データを用いて客観的に行えることから、2009年には厚生労働省の先進医療に指定され、1万3000円程度の自己負担で受診できるようになった。ただし対象となるのは、うつ病やそううつ病などの気分障害、統合失調症が強く疑われる患者のみ(器質的疾患によるうつ症状を除く)。判定精度には個人差があり、よって検査結果も疾患を確定するものではなく、診断の正確性を高めるための補助として扱われる。