血液中のブドウ糖濃度が異常に低くなる、低血糖の状態にともなう病気。正常な血糖値は、おおよそ1デシリットルあたり70~110ミリグラム(mg/dl)。食後でも140mg/dl程度に保たれるが、何らかの原因で70mg/dl未満になると低血糖と診断される。初期のうちは、肝臓から糖を放出させて血糖値を正常に戻そうとする体のシステムが働くため、発汗、手足のふるえ、発熱感、動悸などの自律神経症状が出る。重度化すると脳の栄養が不足して集中力が低下し、錯乱、脱力、眠気、めまい、疲労感などの中枢神経症状へと進む。その後は意識障害、失神、昏睡と悪化し、最悪の場合は死に至る。原因は、糖尿病患者が血糖値を下げるために使用するインスリンや経口薬の効きすぎがほとんどで、空腹時や激しい運動後に陥りやすい。また、日頃から血糖値をよくコントロールしている患者だと、何の症状も感じず一気に失神や昏睡に陥ることがあり、これを無自覚性低血糖(hypoglycemia unawareness)という。健康な人が起こすことはめったにないが、空腹のまま大量のアルコールを摂取した翌朝など、低血糖になることがある。自覚症状がある場合は、安静にしてブドウ糖錠剤や砂糖、果汁などを口にすれば回復に向かう。