治療が難しく、慢性の経過をたどる疾病の総称として使われるが、医学的に明確な定義はない。1972年の旧厚生省「難病対策要綱」では、「(1)原因不明、治療方法未確定であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病、(2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」と定義されている。さらに難病の中でも、「(1)患者数がおおむね5万人未満、(2)原因不明、(3)効果的な治療方法が未確立、(4)生活面への長期にわたる支障」の4つの要件を満たすと判断されたものを「特定疾患」と定義し、難病対策事業の「難治性疾患克服研究事業」において調査、研究が行われている。2008年時点では123疾病が特定疾患に指定され、うち、45疾患が医療費の公的助成の対象になっている。対象となる45疾患に罹患している場合、保健所に申請して「特定疾患医療受給者証」の交付を受けると、医療費の助成を受けることができる。07年3月末時点で、特定疾患医療受給者証の交付を受けている人の数は、58万5824人。08年6月、厚生労働省は09年度から特定疾患の対象の拡大を決定。新たに、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、先天性魚鱗癬(ぎょりんせん)様紅皮症、下垂体機能低下症、クッシング病、先端巨大症、原発性側索硬化症、有棘(ゆうきょく)赤血球を伴う舞踏病の7疾患を加えることを発表した。