食物がのどに詰まり、気道閉塞(へいそく)を起こした場合に用いられる、応急処置法の一つ。1974年にアメリカの医学博士ヘンリー・ハイムリックが手順を形式化したもので、ハイムリック法と呼ぶこともある。日本では腹部突き上げ法ともいう。(1)救助者は患者を座らせて背後に立ち、抱きかかえるように腹部に腕をまわす。(2)片手で握りこぶしを作り、親指の付け根をみぞおちにあてがい、もう片方の手でこぶしをしっかりつかむ。(3)両腕を締めて、こぶしを内側上方へ素早く引き上げ、上腹部を5回連続して圧迫する。小児の場合はここで力の加減を行う。これら一連の手順を繰り返して、気道に強い内気圧をかけ、異物をはき出させる。ただし乳幼児、妊婦、意識のない患者には禁忌。成人でも強く施術すると、胃破裂、皮下気腫、縦隔気腫などの合併症を招くことがある。乳幼児の場合は、うつぶせに抱きかかえ、背中の肩甲骨の間を平手で4、5回連続してたたく背部叩打法を用いる。