2010年7月1日から運用が始まった、糖尿病診断のためのガイドライン。1999年に施行された診断基準について、日本糖尿病学会が10年ぶりに調査検討を行い、一部を改めて策定し直した。最も大きな改訂点は、これまで補助的な判断要素だったHbA1cまたはグリコヘモグロビンと呼ばれる血中物質の数値を、国際標準に合わせて検査項目に取り入れ、糖尿病型の判定基準値を設けたこと。HbA1cとは、赤血球内にあるたんぱく質のヘモグロビンに、血中を流れる余分なブドウ糖が結合したもので、高血糖の人ほど数値が高い。しかも被験者の過去1~2カ月の血糖状態を、数値から推定できるため、糖尿病診断に不可欠な慢性高血糖の確認が容易になった。従来の検査だと、(1)普段の血糖値、(2)朝、何も食べていない時の血糖値、(3)ブドウ糖を飲んだ後の血糖値を測定し、いずれかに異常値が出ると別の日に再検査を行っていた。しかし、新診断基準では血糖とHbA1cを同じ日に測定して、両方とも異常値なら即時に糖尿病と診断することができる。