2010年12月15日、東京都議会で可決、成立した「東京都青少年の健全な育成に関する条例(青少年健全育成条例)」の改正。青少年健全育成条例は、青少年をめぐる環境の整備と、健全な育成を阻害する行為の防止を目的としたもの。10年2月、東京都が、児童ポルノ規制などを目的とした同条例の改正案を都議会に提出。マンガやアニメにおいて、18歳未満として表現されている人物を「非実在青少年」と呼び、これを性的対象として描く作品の規制を求め、「強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもの」については「不健全図書」に指定して18歳未満への販売と閲覧を禁じるなどの内容であった。著名な漫画家たちや、自主規制対象誌の指定などを実施する出版倫理協議会(日本雑誌協会など出版4団体で構成)などが「表現の自由の侵害」として反対の声をあげたことから、最大会派の民主党の反対で継続審議となり、6月の都議会で否決された。しかし11月、東京都は内容を修正した改正案を再び提出。「非実在青少年」の文言を削除し、描写される人物の年齢に関係なく「法に触れる性行為や、婚姻が禁止されている近親者間の性行為」を「不当に賛美・誇張して描いた」漫画、アニメなどを規制する内容となった(「不健全図書」については2月の改正案と同様)。出版倫理協議会は、記述があいまいであり、すでに出版社が行っている自主規制の努力を踏みにじるものとして反対する声明を出したほか、日本弁護士連合会(日弁連)も会長声明を出すなど、各界から反対の声があがったが、今回は民主党が賛成。12月15日、民主党、自由民主党、公明党の賛成で可決した。共産党と生活者ネットワークは反対した。集英社や講談社など、マンガを出版する主要10社でつくる「コミック10社会」は、条例改正に抗議して、11年3月に石原慎太郎都知事を実行委員長として開催される「東京国際アニメフェア2011」への参加を「断固、拒否する」との声明を発表した。