18世紀末に、ドイツの医師サミュエル・ハーネマンが始めた代替療法。病気と似た症状を引き起こす成分を水で薄め、砂糖でくるんだ「レメディー」と呼ばれる錠剤を服用することで、自然治癒力を高め、病気を治すとされるもの。普及団体は、がんやアトピー性皮膚炎など、様々な病気の治療に有効であるとしている。レメディーは、様々な物質を溶かした液体を、水で薄めて激しく振る作業をくり返し、天文学的な倍率にまで薄めることで作られる。溶かし込む成分には、昆虫、トリカブトなどの植物、鉱物など、約3000種類があり、患者の訴えに応じて処方される。ドイツやイギリス、アメリカ、フランス、インドなどで盛んで、日本では1990年代後半から広まり、助産師など、医療関係者の一部にも浸透。98年には、日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)も設立された。しかし、ホメオパシーを利用して通常の医療を受けず、病気が悪化して死亡する例が相次いだため、2010年8月24日、日本学術会議がホメオパシーについての会長談話を発表。「科学的根拠がなく、荒唐無稽」であり、ホメオパシーに頼ることで「確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性がある」として、治療に使用することは「厳に慎むべき」と呼びかけている。日本医師会、日本医学会もこれに賛同を表明している。