新潟県阿賀野川流域で、化学工場の排水中の化学物質によって引き起こされた神経系疾患。熊本県水俣市で発生した水俣病と同じく、メチル水銀化合物に汚染された魚介類を長期間、大量に食べ続けることでおこることから、こう呼ばれる。熊本の水俣病、三重県四日市市の四日市ぜんそく、富山県神通川流域のイタイイタイ病とともに四大公害病と呼ばれる。新潟水俣病の発生が公式発表されたのは1965年。68年には、政府が原因を阿賀野川上流60キロで操業していた昭和電工の鹿瀬(かのせ)工場の排水に含まれるメチル水銀と断定。熊本県の水俣病とともに、新潟水俣病を公害と認定した。水俣病の症状は、手足のしびれやふるえ、運動失調、視野が狭くなるなど。母親の胎盤を通してメチル水銀を摂取、脳に障害を負うことで、脳性まひの症状をもって生まれる「胎児性水俣病」もある。公害健康被害補償法に基づく新潟水俣病の認定患者数は、2010年11月時点で698人だが、複数の症状の組み合わせなどが必要とされる現行の基準では、認定を受けられない人が多く、延べ1347人が申請を棄却されている。09年7月に成立した水俣病救済法に基づき、10年5月から、未認定の被害者を支援する政府の新救済策の申請受付が行われているが、判定結果の内訳は非公表。10年11月23日、松本龍環境相が、新潟水俣病の患者団体と面会し、環境相として初めて、被害拡大を防止できなかった国の責任を認め謝罪した。