駅のプラットホームから線路への転落事故や入線する列車との接触事故防止のために、線路とホームとの間に設置されている可動式防護柵、可動式ホーム柵を意味する和製英語。このうち、プラットフォームの天井まで仕切るものをスクリーンドアとも呼んでいる。2001年1月に東京・新宿区のJR山手線新大久保駅で、ホームから転落した男性を救助しようとして亡くなった韓国人留学生らの死亡事故をきっかけに、ホームの安全対策の一つとしてホームドアの設置を求める動きが高まった。しかし国土交通省によれば、1日に5000人以上が乗降する2808駅のうち、転落防止のための防護柵やホームドアが設置されているのは、10年3月までにわずか499駅で、駅総数約9500のうち4.7%に過ぎない。06年に制定されたバリアフリー新法によって、新駅にはホームドアの設置が義務付けられたが、既存駅では努力目標である。11年1月にJR山手線目白駅で全盲の男性がホームから転落して死亡する事故が発生。このため国土交通省は鉄道会社各社に対して、ホームドアなど転落防止策の設置目標を提出することを求めた。しかし各社ではドア数が異なる車両を使用しており、ホームドアと車両ドアの数が合わないものがある。さらに停車時に車両ドアとホームドアを同時に開閉するには正確な停車作業が必要となり、運行に遅延を生じさせないためには自動運転システムの導入が不可欠であることが予測されるなど、ホームドアを設置するにはハードルが高い。JR山手線では、10年6月26日恵比寿駅で、8月28日に目黒駅でホームドアの使用が始まったが、ここでホームドアの課題や列車運転に与える影響を検証するとともに、6ドア車両を4ドアに切り替えるなどの工程を経て、17年度までに山手線の全駅にホームドアを設置する予定である。