早産による低出生体重児、先天異常などで重症の新生児を治療する施設。新生児用の呼吸循環監視装置や人工換気装置、保育器、その他の必要な設備を備え、担当医が24時間体制で当直し、3床ごとに1人の看護師がつく。厚生労働省の調査によると、2005年の病床数は全国で2341床。しかし出産年齢の高齢化などで、NICUでの治療を要する新生児数が10年間で1.5倍に増加。ここ数年は、1日約3150床の需要に対し、常に1000床程度が不足している。そのため全国の周産期母子医療センターで、「NICU満床」を理由に妊婦の受け入れ拒否事例が頻発。06~08年には、東京、札幌、奈良で妊婦や胎児が死亡する事件も表面化した。これを受けて、文部科学省では09年度から4年間で、すべての国立大学病院に計60床以上のNICUを設置し、母体・胎児集中治療管理室(MFICU)、継続保育室(GCU)と合計で約250床を増やす整備計画を打ち出した。また、救急患者を含むすべての命の危機にある子どもを治療する小児集中治療室(PICU)は、全国に18カ所、約120床を数えるが、こちらも病床数の不足が指摘されている。