自動車盗難防止用電子ロック装置「イモビライザー」を破る器具。イモビライザーは、通常100万通り以上の暗号パターンを持ち、特定のコードを鍵に埋め込んだ電子チップに記憶させる。キーを差し込んだ時、車載コンピューターが瞬時にこれを読み取り、正規コードと一致しなければエンジンはかからない。現時点では最も防犯効果が高いとされ、2010年10月現在159車種に搭載されている。イモビカッターは、販売店や修理工場などで修理や設定変更、合鍵の作製などに使う機器のロック解除機能だけを不正にコピーした手のひらサイズの装置で、メーカー別に数種類の車種を解除できるという。以前から存在は知られていたが、警察庁が確認したのは10年2月。発祥は中国とされ、ネットなどで出回っているが、現時点で所持や売買を直接取り締まる法律はない。自動車メーカー側も対策を進めており、現在流通しているカッターでは最新車種の開錠はできないという。10年12月20日の警察庁のまとめによれば、自動車盗難台数は近年減少傾向にあるが、06年に生産を中止したトヨタの高級車「セルシオ」は、09年に前年比54.8%増の875台、10年は1~10月で1075台と急増中。理由の一つが、旧型のイモビライザーだとされる。