家畜やペット、野生動物などの腸管にすむらせん状をした細菌で、ヒトに感染して腸炎を発症させる病原菌の一つ。1982年、食品衛生法の食中毒起因菌に指定された。現在は17菌種6亜種3生物型に分類されているが、このうち、病因となるのは95%以上の割合で、カンピロバクター・ジェジュニ(campylobacter jejuni)である。主な感染経路は、菌に汚染された食品や飲料水の摂取、動物との接触など。100個程度の少ない菌量で感染が成立し、潜伏期間も2~5日とやや長めで原因が特定しにくい、といった特徴をもつ。食品の場合、中心部を75度以上で1分間以上の加熱処理を行えば滅菌できるが、ここ数年、日本では鶏肉を中心とした肉類や、牛レバーなど内臓の生食による感染報告が増加している。厚生労働省の食中毒発生状況統計でも、2008年は発生件数でトップ、受診患者数もノロウイルス食中毒に次いで2番目となっている。感染すると下痢、腹痛、発熱、悪心、おう吐、頭痛、倦怠感などが現れ、通常1週間程度で自然治癒する。ただし幼児や高齢者、抵抗力の弱い人は、重症化の可能性が高い。また、カンピロバクター食中毒に感染すると、数週間後に、手足のまひや呼吸困難などをともなうギラン・バレー症候群を発症する危険性が指摘されている。