改正臓器移植法により2010年1月17日から導入された制度で、ドナーカードなどに臓器提供の意思表示を行う際、親族への優先提供を希望できること。法の基本理念である「移植機会の公平性」という原則上、特例と位置づけられている。ここでいう親族とは「配偶者、子および父母」とされ、配偶者についてはいわゆる事実婚を含まず、実の親子以外では特別養子縁組による養子および養父母に限られる。このほか、(1)特定の親族を指定した意思表示の場合は親族全体への意思表示として扱う、(2)医学的な理由から必ずしも親族に移植が行われるとは限らない、(3)意思表示者が自殺を図った場合は親族への優先的な臓器のあっせんは行わないことなどが、厚生労働省のガイドラインに明示されている。また、親族が日本臓器移植ネットワークに移植希望登録をしていることが前提となる。改正法施行後、10年5月と10月に親族優先提供による角膜移植が行われたほか、11年5月には脳血管障害のため死亡した40代女性から、20代の娘に腎臓の移植が行われた。