職場や大学のサークルなどにおける、地位の上下関係や所属意識などを背景とした飲酒に絡む嫌がらせや人権侵害。相手の望まない飲酒に関する行為・言動で、行為者が意図したかどうかにかかわらず、それによって相手に不利益または不快感を与えること。アルハラとも呼ばれる。特定非営利活動法人アスク(アルコール薬物問題全国市民協会)では、アルコールハラスメントの定義として次の5項目を挙げている。(1)上下関係、部の伝統、集団によるはやしたて、罰ゲームといった形で心理的な圧力をかけ、飲まざるをえない状況に追い込むこと(飲酒の強要)、(2)場を盛り上げるために、イッキ飲みや早飲み競争などをさせること(イッキ飲ませ)、(3)酔いつぶすことを意図して飲み会を行う(意図的な酔いつぶし)、(4)本人の体質や意向を無視して飲酒をすすめる、宴会に酒類以外の飲み物を用意しない、飲めないことをからかう、侮辱する(飲めない人への配慮欠如)、(5)酔って絡んだり、暴言を吐いたり、悪ふざけやセクハラなどのひんしゅく行為をする(酔ったうえでの迷惑行為)。急性アルコール中毒を起こして死に至ることもあり、大学生の酒宴による死亡事故も後を絶たないことから、遺族や関係団体が注意を呼びかけている。2011年6月には神戸地裁で、大学2年生男子の飲酒死亡事故における「先輩たちの飲酒強要」の有無が問われた民事訴訟の和解が成立し、裁判手続きの中でアルコールハラスメントの事実が初めて認定された。