消化管やすい臓、肺などにできる腫瘍の一種。ラテン語で「カルチ」は「がん」、「ノイド」は「~のような」「似て非なるもの」という意味で、がんによく似た組織が見られることから類がん腫とも呼ばれる。発生はとてもめずらしく、一般的に良性だが、まれに転移する悪性の場合もある。虫垂での発生が最も多いが、小腸、直腸、胃、すい臓、肺などでも見られ、胆のうや卵巣、精巣などに発生することもある。腫瘍からは、セロトニン、ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジン、カテコールアミンなどのホルモン様物質が分泌されるが、これらの物質が過剰に分泌されると、顔面紅潮、腹痛、下痢、おう吐、気管支けいれん、動悸、心臓弁膜症などのさまざまな症状が引き起こされるカルチノイド症候群が現れる。腫瘍の増殖は遅く、転移や浸潤などの進行は非常にゆるやかだが、化学療法や放射線療法はあまり効果がないため、根治のためには患部の外科的切除が行われる。