建築物の構造計算を審査する、2007年6月に導入された制度。05年に発覚した、耐震強度偽装事件の再発防止を目的に、06年の建築基準法改正で新設。従来、建築主には、完成後の建物が耐震基準などを満たすことを証明するため、指定確認検査機関などの審査を受けて、「建築確認済み証」を取得することが義務づけられている。構造計算適合性判定は、この建築確認を経た建物のうち、一定の規模以上のものを対象に、指定構造計算適合性判定機関などが、構造計算について再確認を行うもの。対象は、高さ20mを超える鉄筋コンクリート造の建物などで、現役の1級建築士や大学教授などが構造計算適合性判定員として設計者に聞き取り調査を行い、構造計算をチェックする。耐震強度の確保が期待される一方で、手続きの厳密化に伴って、建築確認に要する期間が、従来の約3倍に延長されたことから、新規着工を延期する建設会社が続出。07年9月のマンション着工件数(首都圏)が、前年同月比で85.9%減となった一因とされる。新制度に対応した解説書の交付が、制度の導入後にずれこむなど、国土交通省の対応の遅れも指摘されている。