野生のマダニが媒介する、SFTSウイルスによって引き起こされる感染症。2009年頃、中国中央部で未知の病気が集団発生したことで存在が知られ、11年に原因ウイルスが特定された。感染すると、血液中の血小板や白血球が著しく減少するのが特徴で、6~14日の潜伏期間を経て、発熱や消化器症状(食欲低下、おう吐、下痢、腹痛)が現れる。頭痛、筋肉痛、けいれん、意識障害、昏睡(こんすい)、呼吸障害、出血などを伴うこともあり、重症者の致死率は10%を超える。12年までに中国の7省で数百例が報告され、アメリカのミズーリ州でも類似ウイルスが見つかっている。日本では12年秋に山口県で成人女性が感染し、約1週間後に死亡した事例が、初の国内感染確認となった。治療に有効なワクチンや抗ウイルス薬はなく、対症療法が基本となる。中国では経口抗ウイルス薬のリバビリンによる治療も試みられているが、効果は確認されていない。厚生労働省では予防対策として、屋外活動時にマダニにかまれないよう、服装などの注意を呼びかけている。