辞書を引いて調べた言葉のページに付箋(ふせん)をはっていく学習法。中部大学の深谷圭助准教授が、愛知県の公立小学校教諭時代に授業で実践し、2006年に発行した著書「7歳から『辞書』を引いて頭をきたえる」(すばる舎)などで紹介したことから、教育関係者や保護者の間で話題になり、全国的に広がった。辞書を引いた分だけ付箋が増えていくという視覚効果で、子どもが達成度を自覚できゲーム感覚で辞書を引く習慣を身につけていける。語彙(ごい)数を増やす以外にも、子どもの知的好奇心を高め、自発的に学習する意欲を引き出す効果があるという。通常、国語辞書や漢和辞書の使い方は小学3年生の授業で習うが、未知の言葉に対する関心が高まる小学1年生のうちから辞書を使わせることがポイントで、国語以外の教科や日常生活の中でも、気になった言葉があったらいつでも辞書を引けるように身近な場所に置いておく。電子辞書やインターネットの辞書検索の普及によって、紙の辞書の市場は縮小傾向にあったが、この学習法の広がりで07年ころから小学生向け辞書の発行部数が伸びている。各出版社は、辞書の軽量化や耐久性の向上、漢字の総ルビ化など、辞書引き学習法に対応するような工夫を凝らし、低学年向け辞書の改訂を行っている。