ツツガムシ病リケッチア(Orientia Tsutsugamushi)を起因菌とする感染症。ツツガムシ(恙虫)というダニの一種に刺されることによって感染する。主にネズミなどの齧歯類(げっしるい)を宿主とする動物由来感染症(人獣共通感染症)で、診断した医師は都道府県知事に届け出義務がある。潜伏期間は5~14日で、39℃以上の高熱、ダニの刺し口、発疹を主要3徴候とし、ほかにも頭痛や倦怠感、刺し口付近や全身のリンパ節腫脹などが見られる。重症化すると播種性血管内凝固症候群(DIC)や肝障害などを合併し、死に至ることもある。この菌を持つのは、アカツツガムシ、フトゲツツガムシ、タテツツガムシの3種類で、河川敷や山林、耕作地などの土中に生息する。菌は卵を介して受け継がれ、菌を持たない個体が感染動物に吸着しても、菌を獲得できない。中国、韓国、東南アジアなどにも広く分布し、日本では、東北地方や新潟県などの風土病として古くから知られていたが、現在では北海道、沖縄を除く全都府県で見られる。2011年3月22日、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被災地福島県東白川郡に住む60代の男性がツツガムシ病と診断された。これは震災以前の感染と判明したが、国立感染症研究所では、被災地の臨床現場で働く医療関係者に注意を促すとともに、津波などにより有毒ツツガムシの生息域の土が流され、これまでなかった地域に患者が発生する可能性を示唆。感染予防として、肌の露出を避けた服装、虫除け剤の使用、作業後の入浴、作業着の洗濯または天日干しなどを呼びかけている。