親による子どもの虐待が認められた場合に、家庭裁判所が親権の喪失を宣告できる制度。親権とは、一般的には未成年の子どもに対して父母が行使する権利・義務をいい、父母が結婚している場合は双方が親権者、離婚した場合などはどちらか一方が親権者となる。親権には、監護・教育権、居所指定権、懲戒権、職業許可権、財産管理権などがあるが、父母が親権を乱用し、著しく不行跡であるときは、子どもの親族または検察官の請求によって、家庭裁判所が親権の喪失を宣告することができる(民法834条)。しかし、現行の親権喪失制度には期限の定めがなく、親権の回復が困難で親子関係の断絶につながる懸念があることが指摘され、2011年5月27日に民法の一部を改正した。改正民法には、児童虐待の防止や児童の権利利益を擁護する観点から、親権停止の制度を創設することが盛り込まれ、2年を超えない範囲で親権を停止できるようにしたほか、虐待された本人や未成年後見人でも親権喪失の宣告を請求できるようにした。