持続可能な社会保障制度の構築と財政の再建を目的に、政府・与党がとりまとめた改正案。2011年6月30日に正式決定した。少子高齢化が進み、医療や介護、年金などの社会保障費は年々増加、財政悪化も長らく問題になっている。こうしたことから、政府は10年10月、税と社会保障の一体改革を議論、検討する場として社会保障改革検討本部を設置。以降、有識者検討会なども開催し、議論を進めてきた。10年12月には社会保障改革の基本方針をまとめた「社会保障改革の推進について」を閣議決定、今回はこれをもとに具体的な方針を成案としてとりまとめた。改革の優先順位としては、(1)子ども・子育て支援、若者雇用対策、(2)医療・介護等のサービス改革、(3)年金改革、(4)貧困・格差対策や低所得者対策、とした。たとえば、年金改革では、所得比例年金を導入し、所得が同じであれば保険料や給付は同額、保険料は15%程度とする。また、税を財源とする最低保障年金を創設し、満額を7万円に設定する。年収が65万円未満の単身者の場合は、月額で1万6000円を加算する、など。財源については、消費税をすべて国民に還元する社会保障の目的税であることを法制化し、10年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げることが明記された。