血液中に含まれる白血球の一種。樹枝状の突起を伸ばした形をしており、体内に侵入した細菌やウイルスなどを捕らえて分解し、防衛反応のための抗体を作らせる性質をもつ。骨髄で作られ、血液によって全身の組織へと運ばれるが、分布する場所の違いで、骨髄系樹状細胞(全身)、ランゲルハンス細胞(表皮)、指状嵌入細胞(リンパ節、脾臓、胸腺)、ヴェール細胞(リンパ管)、真皮内樹状細胞(真皮)、濾胞樹状細胞(リンパ組織)、抗原担送細胞(リンパ管、リンパ洞)などの種類に分けられている。主な働きは免疫の監視係で、有害な異物の侵入を察知すると活性化し、攻撃して得た情報を免疫系の司令塔であるリンパ球のT細胞に知らせる。そうして抗体が作られると、その異物(抗原)だけを選択的に排除できるようになり、これを獲得免疫という。最も古い歴史では、1868年にドイツ人医学者のパウル・ランゲルハンスが表皮から発見し、正体不明のままランゲルハンス細胞と名づけた。その後、1973年にカナダ人免疫学者のラルフ・スタインマンが、大食細胞(マクロファージ)と同様の働きをするが、異なる素性の免疫細胞を脾臓から発見し、樹状細胞と名づけた。近年ではがんの免疫療法などにも応用され、2011年、スタインマンは免疫システム解明の功績により、ノーベル医学・生理学賞を受賞した。