毎年春秋2回行われる国の栄典の一つ。同時に選ばれる褒章が民間人を対象とするのに対し、主に国家または公共に対し功労のあった人たちを表彰する。1875年(明治8)、現在の旭日章(きょくじつしょう)の基となる最初の勲章制度が始まった。翌76年(明治9)には菊花章(きっかしょう)、88年(明治21)には瑞宝章(ずいほうしょう)と宝冠章(ほうかんしょう)が制定され、戦後の中断期(1946~63年)を除き、今日まで続いている。旭日章(Orders of the Rising Sun)は、功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた人に贈られる。一方の瑞宝章(Orders of the Sacred Treasure)は、長年公務等に従事し、成績を上げた人を表彰するもので、それぞれ「大綬章(だいじゅしょう)」から「単光章(たんこうしょう)」までの6階級に分かれる。国内最高とされるのが、大勲位菊花章(Supreme Orders of the Chrysanthemum)で、首飾り型の大勲位菊花章頸飾(けいしょく)が最上位、左胸に下げる大勲位菊花大綬章がこれに次ぐ。ほかにも、特別な場合外国人女性だけに授与される宝冠章(Orders of the Precious Crown)や、大勲位菊花章に次ぐとされる桐花大綬章(とうかだいじゅしょう Grand Cordon of the Order of the Paulownia Flowers)があり、これらとは別枠で、文化の発達に関し特に顕著な功績のあった人には、年1回文化勲章(Order of Culture)が贈られる。選考は、各省庁などが推薦する候補を内閣府が審査。その後閣議を経て、受章者を決定する。2012年4月29日付で同年春の叙勲が発表され、作家で元経済企画庁長官の堺屋太一(本名・池口小太郎)らが旭日大綬章に、女優の岩下志麻(同・篠田志麻)、狂言師野村万作(同・野村二朗)らが旭日小綬章に選ばれた。