乳幼児に見られる小児がんの一つ。交感神経のもとになる神経芽細胞が、成長過程で異常に増えてがん化する病気で、神経芽細胞腫ともいう。発症すると腎臓の上にある副腎という臓器や、背骨に近い交感神経節という部位に悪性腫瘍が生じ、おなか側に向かって大きくなってゆく。そのため腹部の張り、しこり、腹痛などで発見されることが多く、一般にはおなかのがんとされている。小児がんの中では白血病、脳腫瘍に次いで発生頻度が高く、日本では推定年間150~200人が発症している。1歳以下での発症が最多で、大部分が5歳以下で発見されるのも特徴。原因は不明だが、遺伝によるものもある。初期症状はほとんどなく、腫瘍の発生場所がリンパ節に近いため、発見される頃には頸部、胸部、骨、骨髄など別の場所へ転移しているケースが半数以上にのぼる。よって症状や進行具合も、どこに転移したかで異なる。痛みやうっ血のほか、発熱、せき、食欲不振、不機嫌、下痢などの症状が続くこともある。生後1歳未満で見つかり、他に転移がなく、MYCNと呼ばれるがん遺伝子がおとなしい場合は、外科手術などによって治りやすい。一方、1歳半以上で見つかり、転移がある場合は化学療法や放射線療法を用いるが、治癒率は40%以下と低い。