直近の国勢調査のデータを基に、人口変動の要因となる出生率、死亡率、国際人口移動など複数の予測値を考慮して、50年後の人口規模、ならびに年齢構成等の人口構造の推移について推計したもの。国立社会保障・人口問題研究所が国勢調査に合わせてほぼ5年ごとに作成、公表する。将来の出生、死亡等の推移は不確実であることから、最も可能性が高い標準的な「中位」、それより高く推移する「高位」、それより低く推移する「低位」の3仮定を設け、それらの組み合わせにより9通りの推計を行っている。このデータは、年金の給付基準を決める年金財政のほか、経済成長などの指標の基礎データとして利用される。2012年1月30日、同研究所は、2010年の国勢調査を受けて、2060年までの将来推計人口を発表した。同研究所による将来推計人口の公表は14回目。出生中位、死亡中位の推計では、1人の女性が一生の間に何人の子どもを産むかを示す指標である合計特殊出生率は、2010年の1.39から、24年には最低値1.33を経て、60年には1.35へと推移するが、人口維持に必要な2.07には届かないため、人口減少が進む見通しである。人口は、10年の1億2806万人から、30年には1億1662万人となり、48年には1億人を割って9913万人、60年には8674万人と推計される。したがって60年までの50年間で4132万人、つまり10年の人口の32.3%が減少することになる。また平均寿命は10年の男性79.64歳、女性86.39歳から、60年には男性84.19歳、女性90.93歳と伸張。65歳以上の高齢人口は、60年には3464万人と、総人口に占める割合が約4割となる。いっぽう15~64歳の生産年齢人口は、10年の8173万人(総人口に占める割合63.8%)から60年には4418万人(同50.9%)まで減少、0~14歳までの年少人口も、1684万人(同13.1%)から60年には791万人(同9.1%)に落ち込む見通しとなり、高齢者の社会保障を支える担い手が極端に少なくなるという、超少子高齢社会日本の課題が浮かび上がった。