脳震盪(しんとう)(cerebral concussion)のような軽い頭部外傷を繰り返し受け、致命的な脳損傷に至ること。2次的衝撃症候群ともいう。1973年にアメリカの脳神経外科医リチャード・シュナイダーが初めて報告した。脳震盪は軽度外傷性脳損傷の一つで、出血に至るほどではないが、頭を打った後に一時的な意識消失、記憶の混乱、頭痛、めまい、立ちくらみなどの機能障害をともなう。すぐに回復するため、特別な治療が行われることは少ない。ただし、初回に受けた外傷で脳震盪の症状が続くうちに、繰り返し衝撃が加わると脳血管の自動調節機能がまひし、急性硬膜下血腫や脳腫脹(しゅちょう)を生じることがある。すると急激な意識障害ののち、後遺症が残ったり、死亡する危険性も高い。とくにラグビー、サッカー、柔道、ボクシングなどのコンタクトスポーツで多く見られるため、アメリカ神経学会(American Academy of Neurology ; AAN)では、脳震盪を症状別に(1)意識混濁15分以下、(2)意識混濁15分以上、(3)数分から数秒の意識消失あり、の3グレードに分けて競技への復帰の目安を定めている。