乗合バス事業者が運行する高速乗合バスと、旅行会社が乗客を募集して貸切バス業者に運行を委託する高速ツアーバスの事業形態を一本化する制度。2012年4月末に関越自動車道で発生した高速ツアーバスの死傷事故を踏まえて、国土交通省が安全確保の対策として7月31日付で創設。これまでは、どちらも高速道路を利用して都市間を結ぶ同様の運行形態であるにもかかわらず、高速乗合バスは道路運送法、高速ツアーバスは旅行業法と別々の法律が適用されていた。また、決まった料金、日時、経路で運行する高速乗合バスに対して、料金や運行経路を柔軟に変更できる高速ツアーバスは格安の料金設定も可能なことから人気を呼んで急成長した。しかし一方で、経費削減のために運転手の人数やバスの整備費用などが不十分で、安全確保が問題となっていた。両者を一本化した新高速乗合バスは道路運送法の適用下となり、旅行会社にも乗合バス事業の許可の取得を働きかけるとともに、貸切バス業者に運行を委託する際には、国土交通相の許可が必要となる。委託できる貸切バス業者は、(1)運行開始後3年以上を経過している、(2)過去1年間に重大な法令違反の処分を受けていない、(3)過去の行政処分歴が一定以内に収まる、などの条件を満たしていなければならない。一方で、従来の高速乗合バスに適用されていた運行計画と運賃・料金の事前届け出期間を30日前から7日前に短縮するなど規制を緩和し、高速ツアーバスの長所であった柔軟性は確保する。高速ツアーバス業者に対して13年7月までの1年間を移行期間とし、新高速乗合バスへの移行を促す。