健康の維持や生活習慣病の予防などのために必要なエネルギー量及び各栄養素の摂取量の基準。厚生労働省は2009年5月に2010年版「日本人の食事摂取基準」を公表した。10~14年までの5年間を使用期間として、保健所などの栄養指導や学校給食などの栄養管理に利用される。エネルギーの食事摂取基準は、性別、年齢、日常の身体活動レベルごとに、1日に消費されると推定されるエネルギー量(推定エネルギー必要量)を算出し、妊婦と授乳期にある女性については別途、胎児の成長や授乳のために必要なエネルギーを加算している。例えば、30~49歳までの男性で身体活動レベルが普通の場合、1日の推定エネルギー必要量は2650kcal、同女性の場合は2000kcalになる。栄養素については、たんぱく質や脂質、ビタミン、ミネラルの34種類を対象とし、5つの指標を設定している。健康維持や欠乏症予防のために必要な摂取量には「推定平均必要量」と「推奨量」があり、この2つの指標が設定できない栄養素については「目安量」が設定されている。この他、過剰摂取による健康被害を防ぐための「耐容上限量」、生活習慣病の一次予防を目的とした「目標量」がある。前回の05年版と比べると、推定エネルギー量は小児と若年女性では減少したが、高齢者は増加した。ナトリウム(食塩相当量)の目標量は、実際の摂取量が減っていることから、男性で10gから9gに、女性では8gから7.5gに変更になった。