出版社が書籍を書店に卸す際の取引条件の仕組みで、書店の仕入れ価格を通常より低くし書店の利益率を高く保証する代わりに原則買い切りという制度。返本は、仕入れた数に対して制限を設けたり、数は限らないが引き取る価格に制限を設けたりなど、条件はそれぞれ設定される。再販制度により出版社が定価を設定できる書籍や雑誌は、売れ残ったら書店が仕入れ価格で返品できる「委託販売制」が一般的だが、委託販売は多様な書籍を店頭に置いてもらえる長所がある半面、販売する書店にリスクがないため販売効率が悪くなる短所もある。そのため、40%近い返本率に象徴される出版不況を打開しようと、責任販売制を取り入れる出版社が出てきた。小学館は2008年11月に発売した「ホームメディカ 新版・家庭医学大事典」(税抜き価格6000円)を、従来同様に、返品は自由だが利益は20%程度の委託販売か、原則的には買い切りだが35%の利益を得られる責任販売制か、取引条件を書店が選べるようにした。また、09年4月には、講談社が同年10月刊行の書籍で責任販売制を導入すると発表。さらに、09年7月6日、筑摩書房や中央公論新社、河出書房新社など東京都内の8つの出版社が共同で、責任販売制の新システム「35(さんごー)ブックス」を導入する、と発表した。