2011年9月28日、内閣府の中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」(座長・河田惠昭関西大学教授)がまとめた提言。調査会は同年3月の東日本大震災を受けて4月27日に発足、全12回の会議を重ねてきた。最終報告では、今回の大震災が従来の想定を大きく上回ったことへの反省から、今後は「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を検討すべき」と提起。特に津波対策を重視し、「発生頻度は極めて低いものの、甚大な被害をもたらす最大クラスの津波」と「発生頻度が高く、津波高は低いものの大きな被害をもたらす津波」の双方を考慮すべきとした。その上で、(1)「基本的考え方」では、被害の最小化を目的とした「減災」の理念に基づく海岸保全施設等のハード対策と、防災教育の徹底など避難を中心としたソフト対策の両立を強調。津波からは「迷うことなく自ら高い場所に避難することが基本」とし、津波到達時間が短い地域では、地震発生から5分程度で避難できるようなまちづくりを目指すべきとした。また、(2)「円滑な避難行動のための体制整備とルールづくり」として、津波警報や情報伝達体制の充実・強化、津波避難ビルの整備などを提案。(3)「地震・津波に強いまちづくり」では、役所や避難場所、福祉施設、病院等を浸水リスクの少ない場所に建設することなどを挙げた。このほか、(4)「津波に対する防災意識の向上」として、ハザードマップの充実や、徒歩による避難の徹底、地域防災力の向上などを説いている。今後、国は最終報告を踏まえ、防災基本計画を見直すことになる。