失業などで生活が困難になった人に、当面の生活に必要な費用や、敷金などの住宅の賃貸契約に必要なお金を貸し出す制度。これまでも「生活福祉資金貸付制度」があり、失業などで困窮した世帯向けに貸し付けが行われてきたが、連帯保証人が必要とされるなど審査が厳しく、十分に利用されてこなかった。そのため、厚生労働省が利用の要件を大幅に緩和して、2009年10月に「総合支援資金貸付制度」を新設した。実施の主体は都道府県の社会福祉協議会だが、申し込みは市区町村の社会福祉協議会となる。貸し付けの内容は、生活再建までの間、必要な生活費にあてる「生活支援費」、賃貸契約に際して必要な敷金、礼金などにあてる「住宅入居費」、滞納した公共料金の支払いや就職活動費など、生活の再建に向けて必要な経費にあてる「一時生活再建費」の三つ。生活支援費は、単身者なら最大で月15万円、2人以上の世帯の場合は月20万円までを、最長12カ月、借りることができる。住宅入居費は40万円まで、一時生活再建費は60万円までを借りることができる。旧制度では、連帯保証人が必要だったが、新制度では保証人がいない場合も年1.5%の利子で借りることが可能(保証人がいる場合は無利子)。返済は最後に借りた日から6カ月以内に始めなくてはならず、償還期間は最長で20年間。09年10月の受け付け開始から3カ月で、7000人以上がすでに利用している。