土石流、がけ崩れ、地すべりなどの土砂災害から住民を守るために、危険区域を明らかにし、危険の周知や警戒避難体制の整備、住宅の新規立地の抑制などの対策を推進する法律。管轄は国土交通省。正式名称は「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」。1999年に集中豪雨による土砂崩れで24人の死者を出した広島県の災害をきっかけに制定、2001年4月に施行された。この法律に基づいて都道府県が地形などの基礎調査を行い、土砂災害の危険性があれば、市町村長の意見を聞いた上で警戒区域に指定する。住民の生命や身体に危害が生じるおそれがある区域は「警戒区域(イエローゾーン)」とし、ハザードマップによる危険の周知や避難体制の整備が行われる。さらに、建物の損壊など、より危険度の高い区域は「特別警戒区域(レッドゾーン)」とし、開発行為や建物の構造の規制や移転の勧告なども行う。11年5月に一部改正され、土砂ダムや火山噴火による土石流など大規模な災害が緊迫している場合は、市町村が避難指示を適切に判断できるよう、国などが緊急調査を行って情報提供するしくみを整えた。しかし、調査で警戒区域の指定が必要と判断されても、実際には未指定の地域が3割以上あり、改善が求められている。