開腹しないで病巣部を摘出する、内視鏡手術支援ロボット。正式名をダビンチ・サージカルシステム(the da Vinci Surgical System)といい、アメリカの医療機器メーカーであるインテュイティブ・サージカル社(Intuitive Surgical)が開発した。3本のロボットアームとカメラを装備した本体、そこからケーブルでつながった操作台、助手用のモニターなどで構成されている。手術を行う医師は、カメラでとらえた3D画像を見ながら、メスや鉗子を取り付けたアームを操作して患部の切除や縫合を行う。画像は自在に拡大できるため、精密かつ安全な操作が可能。アームの動きも人間の手よりスムーズで、ブレがなく、確実に作業が行える。しかも開腹手術に比べて傷口が小さく、痛みや出血も少ないため回復が早い、などのメリットがある。遠方にいる医師の指示を仰ぎながら治療する、遠隔医療にも応用されている。アメリカでは1997年に臨床に初導入され、現在では、難易度が高い前立腺がん摘出手術の80%以上で使用されているという。日本でも2009年に医療機器としての承認を受け、11年には約700人の前立腺がん患者の手術に使われた。そうした実績から、12年4月より前立腺がんの摘出手術(前立腺全摘除術)で公的医療保険が適用されることになった。