白杖(はくじょう)とは、一般に視覚障害者が歩行するときに使用する白い杖(つえ)のことで、身体障害者福祉法では盲人安全杖という。視覚障害者にとって白杖は、歩行するときの道路面の状況を知る情報収集、前方の段差(落ち込み)や障害物を避ける安全性の確保、さらには障害者がいることを周囲に知らせるシンボルとしての機能を有する。電子白杖は障害物を感知するセンサーがついており、その情報を振動で使用者に知らせる機能のある白杖で、これまでは高価な輸入品に限られていた。このほど秋田県立大学の岡安光博准教授が開発に成功した電子白杖は、重さが従来の白杖と同様の約300グラム程度で、大幅にコストダウンした初めての国産品である。白杖のグリップの下部には、前方と上方の障害物を感知する2つの超音波センサーを内蔵し、前方の障害物を感知するとグリップ部分が振動し、上方に対してはリストバンドが振動して1.5メートル上方の頭の上の高さの障害物を感知できる。岡安准教授が全国盲人福祉大会に参加した約100人に、この電子白杖を使って障害物のあるコースを歩いてもらったところ、アンケートには99%が使いたいと答えている。岡安准教授と開発に携わった秋田精工(秋田県由利本荘市)では、スマート電子白杖の製品名で、センサー2個を内蔵して前方と上方を感知するタイプは4万3000円、前方は従来同様に杖で確認して上方をセンサーで感知するタイプを約3万円程度とし、2011年4月からの販売を予定している。イギリスやドイツや韓国で開発されている電子白杖は、最も安価な製品でも8万5000円程度とされる。