2011年10月3日、スウェーデンのカロリンスカ医学研究所は同年のノーベル医学・生理学賞を、「生物が細菌やウイルスなどの異物から体を守る免疫システム研究の業績」を理由として、ブルース・ボイトラー(Bruce A. Beutler アメリカのスクリプス研究所教授)博士、ジュール・ホフマン(Jules A. Hoffmann フランスのストラスブール大学教授)博士、ラルフ・スタインマン(Ralph M. Steinman アメリカのロックフェラー大学教授)博士に贈呈すると発表した。免疫は体内に侵入した異物を認識し、排除する防御システムで、生まれながらにもつ自然免疫と外敵にさらされてできる獲得免疫がある。ホフマン博士はハエ、ボイトラー博士はネズミを使い、自然免疫の仕組みを解明し、自然免疫の活性化に関する発見をした。スタインマン博士は、自然免疫の数日後に働く獲得免疫で重要な役割を果たす樹状細胞を発見し、その役割を解明した。なお、スタインマン博士は発表直後に、9月30日に膵臓がんですでに死去していたことが明らかになった。ノーベル賞は1974年以降、存命中の研究者を対象とするとの規定があることから授賞の適否が問題となったが、授賞決定時点で死去の事実を把握していなかったことから、ノーベル財団は発表から授賞式までの間に亡くなった例に準じるとして、発表通りの授賞を決定した。賞金1000万クローナ(約1億1000万円)はスタインマン博士が半分、残りをボイトラー博士、ホフマン博士で等分される。ノーベル医学・生理学賞はストックホルムのカロリンスカ医学研究所が選考し、医学または生理学の分野で功績のあった人に贈られる。