着衣の内側を透視する装置。テロ防止策として、アメリカやイギリスの主要空港をはじめ、多くの国々で運用または試験が行われている。契機となったのは2009年12月25日、アメリカで起きた航空機爆破テロ未遂事件で、金属探知機では発見できない粉末の爆発物が機内に持ち込まれていた。ボディースキャナーを使えば、そうした化学物質などの発見が可能になる。日本でも国土交通省が10年7月5日、成田国際空港でボディースキャナーの実証実験を開始した。ボディースキャナーには、エックス線を利用するものと電磁波を利用するものの2種類があるが、国交省は健康への影響が少ないとされる電磁波タイプを実証実験に採用。10年9月10日までの実験期間中にアメリカ製、イギリス製、ドイツ製、日本製の計5機種の性能や搭乗客の反応を調査したうえで、導入の可否も含めて検討する。実証実験は、協力に同意した搭乗客だけを対象に、成田国際空港第1ターミナルビル南ウイング保安検査場前で実施。プライバシー保護の観点から、透視画像は保存せず破棄するなどの手順が定められている。また5機種のうち1機種は体の鮮明な画像が映し出されるため、画像分析は別室で被検者と同じ性別の調査員が行う。